高校時代、大学時代、
そしてチームの主力やまとめ役を
任されていた頃から、
ずっと引っかかっている問いがあります。
それは、
「チームにいる全員に、同じ熱量・同じ言葉を投げかけることが、本当に正しい指導なのか」ということです。
当時の私は指導者ではなく、あくまで一選手でした。
それでも、
ミーティングの空気や発せられる言葉に、
どこか違和感を覚える瞬間が何度もありました。
チームには、目指す場所が違う選手がいる
長く野球をやってきて感じたのは、
チームには大きく分けて、
いくつかのタイプの選手が存在するということ。
例えば、次のような違いである。
- 将来も含めてトップレベルを目指し、プロや高い競技レベルを本気で狙っている選手
- レギュラーとしてチームを支え、プロではなくても、次のステージでも野球を続けたいという強い意欲を持つ選手
- レギュラーではないが、それでも次のステージで野球を続けたいと本気で努力している選手
- 勝敗や進路よりも、「野球を楽しむこと」を大切にしている選手
どれが正しくて、
どれが間違っているという話ではない。
ただ、同じチームに所属していても、
立っている場所も、見ているゴールも
違うという事実は、確実に存在する。
「正論」は、全員に同じように届いているのか
チームミーティングでは、
よくこんな言葉が出てきました。
「甲子園に行くためには、意識の低い選手は排除していかないといけない」
「練習態度が悪い選手がいるなら、チームとして許すべきではない」
競技スポーツとして考えれば、
間違ってはいない。
勝ちを目指す以上、
一定の基準や覚悟が求められるのは当然です。
ただ、その言葉を聞いているのは、
・レギュラーの選手だけではない
・将来が約束されている選手だけでもない
ベンチ外の選手や、
メンバーに入れない選手も、
同じ空間でその言葉を聞いています。
そのとき彼らは、どんな気持ちで
ミーティングを聞いているのでしょうか。
奮い立つのか、それとも自分の存在を
否定されたように感じるのか。
「もう頑張らなくていいのかもしれない」と、
心が離れてしまうことはないのか。
当時の私は、
その点がどうしても気になっていました。
当時、その疑問に答えは出なかった
この違和感を、
チームメイトに相談したこともありました。
返ってきたのは、
「それはお前が考えることじゃない」
「上を目指してないなら、そもそもなんでここまで野球をやってきたんだ」
そんな対照的な意見でした。
選手同士の立場では、
それ以上深く話すことは難しかったし、
次第にこの手の話題は、
口に出さないようになっていきました。
それでも、この疑問だけは、
心の中から消えることはありませんでした。
指導者になるなら、避けて通れない「線引き」
今、これから指導者になる立場として
考えると、この問題から目を背ける
ことはできない。
チームには目標が必要であり、
勝利を目指す以上、競争も、
基準も必要になってくる。
ただし、それを後出しで突きつける
指導だけは避けなければならない。
「気づいたら置いていかれていた」
「知らないうちに、居場所がなくなっていた」
そんな状態を生まないために、
指導者がやるべきことは何なのか。
一つの答えとして考えていること
今の私が考えている一つの方法は、
事前に、選手としっかり向き合い、
立場を共有することです。
定期的に個人面談を行い、
「お前はこうだ」と決めつけるのではなく、選手自身に話をさせる。
- どこまで野球を続けたいのか
- 何を一番大切にしているのか
- チームに何を求めているのか
その上で、チームとしての方向性と、
個人の覚悟をすり合わせていく。
立場とは、
指導者が一方的に与えるものではなく、
選手と一緒に確認していくものだと
考えています。
全体と個別、声かけの「角度」を変える
全体ミーティングでは、
チームとしての基準や覚悟を明確に伝える。
一方で、個別では、
その選手の立場に応じた言葉を使う。
全員に同じ言葉を投げるのではなく、
同じ方向を示しながら、声かけの角度を変える。
それができて初めて、
「勝ちを目指すチーム」と「多様な選手がいる現実」
を両立できるのではないかと思っています。
正解は出なくても、考え続けたい
この問いに、
明確な正解があるとは思っていません。
今も、
自分の中で答えが完全に出ているわけではない。
ただ、
考えることをやめたくはない。
全員が同じ熱量で、
同じ覚悟で野球をやっているわけではない。
その現実と向き合いながら、
それでもチームを導いていく。
それこそが、
これから指導者になる自分に
課せられた役割なのだと思っています。
もしあなたが、
「この問い、少し引っかかるな」と感じたなら、
それはもう、指導者として考え
始めている証拠かもしれません。
チームを率いる立場として、
あなたなら、どんな線引きをしますか。
正解でなくて構いません。
ぜひ、あなたの考えも聞かせてください。



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