―「才能」を守り続ける育成という視点―
小学生・中学生の頃、
「この子は将来すごくなる」
そう言われていた選手は、
数えきれないほどいます。
実際、
私自身もその一人でした。
小学校・中学校までは
地域では名前が知られる存在で、
期待を背負って高校へ進学しました。
けれど、
そこで強く感じたのは
「上手い選手ほど、伸び続けるのは難しい」
という現実でした。
下手な選手が伸びない理由は、もう語り尽くされている
今の時代、
- フォーム改善
- トレーニング理論
- 練習メニュー
- フィジカル強化
いわゆる
**「下手な選手が上手くなる方法」**は、
正直かなり確立されてきています。
努力すれば、
ある一定のレベルまでは
多くの選手が辿り着ける。
でも――
問題はそこから先です。
本当に難しいのは「上手い選手が、さらに伸びること」
高校、大学、社会人と
ステージが上がるにつれて、
- 上手い選手は、もっと上手い選手に囲まれる
- 評価はシビアになる
- 比較される
- 結果を求められる
そして、ある時から
こんな言葉が飛び交い始めます。
- 「中学がピークだったな」
- 「もう伸びしろがない」
- 「完成されちゃってる」
これは、
**能力の話ではなく“決めつけ”**です。
でもこの決めつけが、
選手の可能性を一番早く奪っていく。
才能は「枯れる」のではなく「潰される」
よく言われます。
「才能は有限だ」
「早熟タイプだった」
本当にそうでしょうか。
甲子園で通算50本塁打を打った選手が
プロに入ったからといって、
必ずプロでもホームラン王になるか?
答えは、ほぼNOだと思います。
逆に、
高校時代は目立たなかった選手が
プロで大成する例は、いくらでもある。
ここで言えるのは一つ。
才能そのものより、
“才能の扱い方”の差が大きい
ということです。
上手い選手ほど、壊れやすい理由
上手い選手は、
- 任される
- 期待される
- 使われ続ける
- 結果を求められる
だからこそ、
- 失敗が許されない
- 試行錯誤ができない
- 型から外れられない
- 無意識に「守り」に入る
この状態が続くと、
成長は止まります。
そして周囲はこう言う。
「最近、伸びてないな」
でもそれは、
伸びる余白を奪った結果かもしれません。
育成で本当に必要なのは「寿命を延ばす視点」
年齢が上がるほど、
- 野球選手としての寿命
- チャンスの数
- 評価される回数
これらは確実に減っていきます。
だからこそ必要なのは、
- 今うまくさせることではなく
- 長く成長し続けられる設計
つまり、
「この選手は、3年後どうなっているか」
そこまで見据えた育成です。
上手い選手を潰さないために必要な3つの視点
①「完成形」を決めつけない
上手い=完成
ではありません。
完成させないことが、
最大の成長戦略になることもあります。
② 結果より「変化」を評価する
ヒットを打ったかより、
昨日と何が変わったか。
この視点がないと、
選手は挑戦しなくなります。
③ 役割固定を急がない
「この選手はこれ」
と決めるのが一番早い潰し方。
可能性は、
使いながら広げていくものです。
私が追求したいのは「才能を守り続ける育成」
下手な選手を上手くする方法ではなく、
- 上手い選手が
- 自分の可能性を信じ続けられて
- 年齢を重ねても成長できる
そんな育成の形。
それを、
自分の実体験と
これまで見てきた現場から
言語化し、体系化していきたいと思っています。
まとめ|才能は「伸ばす」ものではなく「守る」もの
才能は、
急激に伸ばそうとした瞬間から
壊れ始めることがあります。
だからこそ、
- 焦らせない
- 決めつけない
- 比較しすぎない
この3つが、
上手い選手を守る最大の育成です。
夢を閉ざすのは、
能力不足ではありません。
育て方ではないかと思っています。
指導者・保護者の方へ
いま目の前にいるその選手は、
**「もう完成した選手」**でしょうか。
それとも、
**「まだ伸び続ける途中の選手」**でしょうか。
結果が出ているからこそ、
期待されているからこそ、
無意識のうちに
成長の余白を奪ってはいないでしょうか。
- 失敗する自由
- 試す時間
- 遠回りする権利
それらは、
上手い選手ほど必要とするものです。
才能は、
急いで伸ばすものではなく、
守りながら育てていくもの。
数年後、
「あの時、あの関わり方で良かった」
そう振り返れる指導ができているか。
いま一度、
その選手の“未来”に目を向けてみてください。



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